2013年7月26日金曜日

Samsung端末向けダミーバッテリの作りかた


スマートデバイスの消費電力を測るためには内蔵バッテリの代わりとなるダミーバッテリ作りが必須となります。今回は広く流通しているSamsungスマートフォン向けダミーバッテリの作成法を紹介いたします。SamsungのバッテリにはNFC等の付加機能が付いており、ダミーバッテリでもこれらの機能を残しておきたかったことから今回は純正バッテリの回路を流用する方法を使いました。



免責事項

この記事に書かれている内容は技術的な参考資料として記載しています
端末等の破損や作業上の事故について弊社および記事作成者は責任を持ちません
作業時の安全確認については各自の責任において行うようにしてください


必要な部材

  • 純正バッテリ
    部品取りに使います
    バッテリの型番でネット検索すると多くの商品が見つかりますので予算にあったものを購入してください
    互換品は割安ですが内部回路が省略されている場合が多いので納得のうえ購入を検討するようにしてください
    また安全のため作業前にバッテリを可能な限り放電させておくとよいでしょう
  • 発泡シート
    展示ポスターの基材として使われる4mm厚のものを使用します
    ホームセンタもしくは画材店で手に入ります
  • コード類
    安定化電源と接続する電源コードです
    動作中は瞬間的に大電流が流れますのでAWG#14-18ぐらいの電線を使用します
  • 透明テープ
    静電対策素材がベストですが市販の透明テープでも作成可能です

工具類

  • カッター
  • プラスチック製のへら
    バッテリを分解するときに使用します
  • 防護グラス
    バッテリ分解時にスパークなどの事故が起きたとき目を保護するために使用します
  • ハンダこて類


ではさっそく作成してみましょう。
今回はSamsung端末のうちGalaxyNexusのバッテリを用いた例を紹介します。


これがダミーバッテリの材料になるバッテリです。


このバッテリ、見た目は純正品と違いが判りませんが模造品で互換性がありませんでした。分解してみるとケースに記載されているNFCのアンテナが内蔵されていません。またNFCが無いだけではなく温度保護用のサーミスタが普通の抵抗だったりバッテリ保護のヒューズが省略されていたりと、何故海外でバッテリ発火事故が絶えないのかが見てとれます。

1.バッテリの分解

警告

リチウムイオン電池は取り扱いによってはスパークが出たり爆発する危険性があります
作業時は回路をショートさせないよう注意し作業するようにしてください
また念のため防護グラスの着用を強く推奨します

Samsung系端末のバッテリは金属ケースのリチウムイオン電池にシールが巻いてあるだけというシンプルな構造になっていますのでまずそのシールを剥がします。なお純正バッテリではシールの下にフィルム状のNFCアンテナが入っていますので剥がす際はアンテナを破損しないよう注意して作業を行ってください。

次にリチウムイオン電池の横についている回路を切り離します。


黒い部分を本体から引き剥がす際はプラスチック製のへらを差し込んで押し上げると簡単に引き剥がすことができます、なお引き剥がすときは決して金属製のカッターを使わないで下さい。内部に通電したままの回路が残っていますのでカッターの刃で回路がショートすると爆発などの危険性があります。また非互換品のバッテリは回路の絶縁が不完全でショートしやすいので注意が必要です。

黒い部分とリチウムイオン電池の隙間が開いたら、慎重にカッターを用いて端子リードを切り離します。Samsung製バッテリの場合、外装側に繋がっているプラス側リードから先に切断し、最後に内側のマイナス側を切断します。
ちなみに GalaxyS3/Tizen開発機(GT-9300派生)のバッテリは外側にプラスが2本、内側にマイナスが1本あります。

分解が終わると次のような状態になります。


不要になったリチウムイオン電池はショートしないようマイナス端子側にシールを巻きつけたうえで家電販売店にあるリサイクルボックスもしくは自治体の規定に従い廃棄するようにしてください。

2.バッテリ端子の加工

バッテリの黒い部分にはバッテリ保護やNFCの回路が入っています。
基板上の回路を破損しないよう慎重に基板を取り出します。


別のダミーバッテリ作成で使用した純正バッテリはスナップ構造で簡単に取り外せましたが、今回のバッテリの場合は接着されていて取り外しに手間が掛かりました。


次に基板に電源コードを取り付けます。


赤いコード(プラス側)はバッテリと繋がっていたランドに接続し、黒いコード(マイナス側)についてはバッテリ用のランドもしくは外部端子に繋がったランドに接続します。今回使用したバッテリでは先に外部端子側から電気が入らないと基板上にある安全回路が解除されない構造となっていたため外部端子側に接続しました。

3.バッテリ外装の作成

バッテリの外装部分については加工が簡単な発泡シートを使用しました。
加工がしやすい材料なので簡単に作成することができます。

オリジナルのリチウムイオン電池形状に合わせてカッターで切り取ります。


注意事項
発泡スチロールは静電気が発生しやすい素材なので冬場は静電気による機器破壊が起きないよう気をつけてください。

4.組み立て

黒い部分へ基板を戻しバッテリ外装を取り付け透明シールで固定します。


 今回作成したダミーバッテリではNFC回路がありませんでしたが GalaxyS3/Tizen開発機(GT-9300派生)の場合は次の写真のようにアンテナが付きます。



5.完成

安定化電源に接続すればダミーバッテリとして動作するようになります。

ちなみに上の写真では次回紹介予定の小型安定化電源を使っています。

今回はSamsungスマートフォンのダミーバッテリ作成事例を紹介いたしました。海外端末はほとんど同じバッテリ構造となっていますので他の機種でも同じように作成できるかと思います。

この記事で読者の方々に省電力への興味を持ってもらえれば幸いです。

ブランド戦略部 - 中村和貴

140 180 ツール作成 , 省電力

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