2011年8月24日水曜日

CTS概要、環境、基本操作





今回は、CTS概要、環境、基本操作について記載いたします。


なお、本内容を実施し、何らかの問題、損害などが発生した場合、当社は一切の責任を負いません。
あくまで自己責任で実施してください。
これらのことを認識頂いた上で、ご利用、参考にしてください。



0.はじめに


 昨今、注目を浴びているAndroidですが、CTSというのは、みなさんご存知でしょうか?


 名前は聞いたことあっても、実際、使ったこと無い人がほとんどだと思います。


 なぜなら、アプリベンダーにはあまり関係ないことですから。しかし、Androidを利用して、世に


 何らかのハードを出そうという人たち(メーカ、個人含む)、またはframeworkを改変(Bug対応など)し、


 Android Open Source Projectsにsubmitしようとする人にとっては、実は避けては通れない道です。


 本記事は、そんな人たちのために捧げます。




 株式会社ブリリアントサービス    


 技術部 藤井洋祐(twitterID:@i_m_yosuke) 




 (校正) 


 技術部 藤田竜史(twitterID:@ryuuuji) 


 ※藤田くん、チェックありがとう。


 


1.CTS概要


 1.1 CTSの目的


  CTS(正式にはCompatibility Test Suite。以下、CTS)は、Google社が


  Android Platform採用端末に実施を義務付けているTest群です。Google社は、


  今までOEM、もしくはキャリア依存であったPlatformをAndroidで汎用化しました。


  CTSは、Android Marketで配布されるアプリケーションが、


  どのOEMのAndroid端末でもスムーズに利用可能なよう(OEMによって、特化されすぎないよう)に、


  主要な公開APIを実行し、チェックします。


  世の中にAndroidPlatform採用端末を配布する場合、これらTest群を全てpassすることが


  互換性を保つという証になり、そういうプロセスを経て初めて「Android端末」を


  名乗ることが出来るのではないでしょうか。




  蛇足ですが、Android 2.3 Compatibility Definition Document(CDD)という、


  Android Platform使用するためのRequirementがあります。


  こちらもあわせて、目を通されることをお勧めします。


  参照: http://source.android.com/compatibility/2.3/android-2.3.3-cdd.pdf


  注.本内容は、2011年8月22日現在、Google社が提供する環境を元に作成しております。




 1.2 CTSの動作


  CTSは、自動化されたハーネスです。以下の二つを含みます。


  ・テスト実行の管理


  ・ターゲットデバイス上で実行されるテストケースのAPKファイル


http://d.hatena.ne.jp/bs-android/files/1-2.png?d=.png


  大まかな手順としては、以下のようになります。


  1.CTSをDownload


  2.ターゲットデバイスの接続


  3.アクセスビリティテスト実行準備


   a)android-cts/repository/testcases/CtsDelegatingAccessibilityService.apk をインストール


   b)以下の手順でインストールしたアクセスビリティサービスを有効にします。


     Settings > Accessibility > Accessibility > Delegating Accessibility Service


  4.アドミニストレータテスト実行準備


   a)android-cts/repository/testcases/CtsDeviceAdmin.apk をインストール


   b)Settings > Location & security 以下にあるandroid.deviceadmin.cts .* を全て有効にします。


  5.CTSを起動します。


  6.CTSレポートが作成されます。


  参照: http://source.android.com/compatibility/cts-intro.html




 1.3 CTSのテスト範囲


  テスト範囲は以下の通りです。(現在、大きく分けて7つになります)


f:id:bs-android:20110823201340p:image:w640


  参照:http://source.android.com/compatibility/cts-intro.html 


2. CTSの環境作り


 2.1 必要なもの


  (ハード)


  ・PC - DownloadしたCTSを実施します。


  ・ターゲットデバイス - Android Platformを採用したデバイスです。


  (ソフト)


  PCに必要なもの


  ・Android Developersから、SDKをDownloadしてください。(PC OSに適合したもの)


   ※Build環境が整っているということが前提となります。


   参照: http://developer.android.com/sdk/index.html


f:id:bs-android:20110823201251p:image:w640


  Note.


  CTS実施環境について、PC側のOSは、こちら側で確認取れているのは、Linux(Ubuntu)、MacOSです。


  Windowsに関しましては、CTS側環境がWindowsに適合していない部分があり、実行Errorとなります。


  CTS側環境を改変+Cygwinで、動作は確認しています。機会があれば別途紹介いたします。




  ・Android Open source project から、ターゲットデバイスのFirmware versionにあわせたCTSを


   PCの任意の場所にDownloadしてください。


   参照: http://source.android.com/compatibility/downloads.html


f:id:bs-android:20110823201017p:image:w640


 Note.


  CTSは、ターゲットデバイスで採用されているFirmware versionにあわせて、選択する必要があります。


  Android2.3(Gingerbread)採用の場合、CTS2.3R5が実施すべきCTS versionとなります。(図2.1-2参照)




 2.2 実施準備


  2.1.1  CTS実施フォルダ作成


   2.1章でDownloadしたCTS 2.3R5(android-cts-2.3_r5-x86.zip)を任意の場所で解凍します。


f:id:bs-android:20110823201715p:image:w360


 解凍後、図2.2-2のようなフォルダが作成されます。


f:id:bs-android:20110823201716p:image:w360


  2.2.2 環境変数の設定


   CTSは、/android-cts/tools/startctsを実行することで起動します。startctsは、


   スクリプトで書かれており、CTS2.3R5では、そのスクリプト中で環境変数を


   2つ使用しています。


  環境変数その1 CTS_ROOT



if [ -z "${CTS_ROOT}" ]; then
# CONFIGURATION
# Set this variable to the root of unzipped CTS directory
# This only needs to be changed if this script has been moved
CTS_ROOT="$(dirname $0)/.."
fi;


  通常使用の場合、特に意識、変更、設定する必要は、ありません。




  環境変数その2 SDK_ROOT



# Add SDK_ROOT to the PATH for backwards compatibility with prior startcts
# commands that required SDK_ROOT to find adb.
if [ -n "${SDK_ROOT}" ]; then
PATH=${SDK_ROOT}/platform-tools:${SDK_ROOT}/tools:${PATH}
fi


  ~/.bashrcに、exportを追加します。



export SDK_ROOT=~/android-sdk-linux_x86


Note.


.bashrcを変更せずに、下記のようにSDK_ROOTの初期値を直接与えても構いません。



# Add SDK_ROOT to the PATH for backwards compatibility with prior startcts
# commands that required SDK_ROOT to find adb.
SDK_ROOT=”~/android-sdk-linux_x86”
if [ -n "${SDK_ROOT}" ]; then
PATH=${SDK_ROOT}/platform-tools:${SDK_ROOT}/tools:${PATH}
fi




 2.2.3 CTS実行


   CTS実行するには、前述のようにstartctsを実行します。


f:id:bs-android:20110823204831p:image:w640


上記のようにcts_hostプロンプトが表示されれば正常に起動されています。




3. CTSの操作(基本編)


 3.1 プランCTSの確認


  CTSのプランは、”ls –plan”で確認することが出来ます。


  現在は、計8種類提供されています。プランCTSは、そのうちのひとつです。


f:id:bs-android:20110823205146p:image:w640


  Note.


  Google社へは、プランCTS(図3.1-1の赤丸)実施、作成されたレポートを提出します。


  本記事では、プランCTS以外の説明は割愛いたしますが、プランCTSで実施される各種テストが


  目的別に小分けされたようなものだと考えてください。




 プランCTSが提供する項目を”ls --plan CTS”で確認することが可能です。


 現在は、計42項目のテストパッケージが提供されております。


f:id:bs-android:20110823205450p:image:w640




 3.2 プランCTSの実施


  3.2.1 プランCTS実施方法その1


   プランCTSは、“start –plan CTS”で実行されます。


   書式:start --plan test_plan_name


f:id:bs-android:20110823205451p:image:w640


Note.


  自動で、端末Rebootを繰り返しながら、プランCTSの項目を順に実施していきます。




  3.2.2 プランCTS実施方法その2


   プランCTSを図3.1-2で表示したテストパッケージ単位で実施することが可能です。


   ”-p”オプションにて、テストパッケージ名を指定します。


   書式:start --plan test_plan_name -p java_package_name


   下記の例では、”android.apidemos.cts”を実施させています。


f:id:bs-android:20110823205452p:image:w640


  Note.


  指定されたテストパッケージに含まれるテストシナリオが全部実行された後、


  cts_hostプロンプトが表示されコマンド入力待ちとなります。




  3.2.3 プランCTS結果確認


   CTS実施結果は、android-cts/repository/results 直下に、CTS開始日付フォルダが作成され、そこに格納されます。


f:id:bs-android:20110823210136p:image:w640


  Note.


  resultsフォルダの下に、zipファイルが作成されます。


  これは、前述のCTS実施結果が格納されるCTS開始日付フォルダをcompressしたものです。


  Google社へは、このzipファイルを提出します。




 CTS実施結果フォルダには、図3.2.3-2で示すようなファイル群が存在します。


f:id:bs-android:20110823210348p:image:w640


  testResult.xmlに実行毎に結果が反映されていきます。その結果は、ブラウザで確認可能です。


  testResult.xmlをブラウザでOpenすると下記、図3.2.3-3のように表示されます。


f:id:bs-android:20110823210349p:image:w640




  他の情報もブラウザスクロールによって表示されます。


f:id:bs-android:20110823210350p:image:w640




  CTSがエラーを検知した場合、下記のように、Result列が赤くなり、エラー詳細が表示されます。


f:id:bs-android:20110823210351p:image:w640


  Note.


  Failure Detailsに表示されるエラー内容では、


  どのようなAPIを使用した結果エラーとなったのかが判別しにくい場合があります。


  その場合、CTSソースコード(AOSPから取得可能)を解析し、エラー要因、


  APIを特定する必要があります。




以上です。





当記事内容をPDF化してます。


下記LinkからDownloadできます。


BS_CTS_Doc01(概要).pdf


BS_CTS_Doc02(環境).pdf


BS_CTS_Doc03(基本操作).pdf






140 180 Android , CTS

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