Firefox OS端末での電力測定を行うにあたり計測機器として使用できるダミーバッテリの作成を行いました。
今回はその作成方法について紹介致します。
免責事項
この記事に書かれている内容は技術的な参考資料として記載しています
端末等の破損や作業上の事故について弊社および記事作成者は責任を持ちません
作業時の安全確認については各自の責任において行うようにしてください
KeonはFirefox OSの開発者向けの端末として販売されたものです。開発者向けの端末としてその他にもPeakがありますが今回はKeonを使用しました。
Keon |
当初Samsung端末向けダミーバッテリの作りかたと同じ方法での作成を考えて純正バッテリを探していましたが、開発者向け端末ということもあり、どこを探してもバッテリが売っていませんでした。そもそも端末自体も手に入らない状況ですので仕方ないのかもしれません。
それでも1つしかない純正バッテリを分解し作成するのもいいのですが、失敗すると携帯電話として普通に使うことができなくなるので、ここは「Androidのダミーバッテリ作成と同様の方法でできないか」確認することにしました。
確認方法はというと「安定化電源と電極を繋ぐだけで起動できるの?」と言った簡単なものです。
下記が電極と安定化電源を繋いで起動させたところです。
起動に問題ありませんでしたのでダミーバッテリの作成に取りかかります。
ダミーバッテリの材料
今回は極力簡単に安く仕上がるようにしました。材料費も1000円ぐらいで揃いますし材料が余るので予備のダミーバッテリの作成もできます。- リン青銅板
強度が高く・加工性が良く・電気伝導率も高いことから電池バネにも使用されていますのでバッテリの電源接続部分に使用します
実際の端子部分には金メッキ処理が施されていますが、今回の作成例では端子部分に処理を行っておらず端末側の端子メッキが腐食する可能性があります。
ダミーバッテリー使用の際は長時間装着したまま放置しないようにしてください。 - 発砲シート
加工が簡単で安易に手に入るのでバッテリ本体に使用します - 電源ケーブル
黒と赤の耐熱電子ワイヤーでAWG22のものを使用します
作成工程
1.バッテリの型を作成
発砲シートをバッテリに合わせて切り抜きます。
今回は切り抜いたまま使用しますが角を綺麗に丸みをもたせてカットを行えば見た目が良くなります。
今回は切り抜いたまま使用しますが角を綺麗に丸みをもたせてカットを行えば見た目が良くなります。
切り抜いたバッテリがはまるか確認します。
2.電源接続部分を作成
2-1リン青銅板を電極に合わせてカットする
カットはカッターで何度もけがく事で行いましたがミニルーターとダイヤモンドカッターがあるのであれば使用した方が綺麗にカットできると思います。
大きさの比較の為に十円玉と並べてみました。
2-2発砲シートに電源ケーブルを通す
発砲シートと電極部分を確認し電源ケーブルを通す穴を開けます。
4つある電極の内、向かって左側がマイナスで右側がプラスになります。
赤丸部分のみにリン青銅板が接触するように電源ケーブルを通す穴の位置決めをします。
発砲シートと電極部分を確認し電源ケーブルを通す穴を開けます。
4つある電極の内、向かって左側がマイナスで右側がプラスになります。
赤丸部分のみにリン青銅板が接触するように電源ケーブルを通す穴の位置決めをします。
2-3電極部分(リン青銅板)の取り付け
カットしたリン青銅板をハンダで取り付け電極部分の確認をします。
写真のように4つある電極のうち、外側の電極部分のみ接触するようにします。
カットしたリン青銅板をハンダで取り付け電極部分の確認をします。
写真のように4つある電極のうち、外側の電極部分のみ接触するようにします。
この時に他の電極と接触してしまう場合は接触しないように電極の位置を調整してください。
もし接触がさけられない場合は電極部分の上に透明テープを張り、接触させたい部分のみカッターで切り抜いて窓を開けるとよいでしょう。
それでも接触してしまう場合は発砲シートのカットからやり直した方が簡単だと思います。
2-4テープでの固定
発砲シートと電源ケーブルをテープで貼ります。
これは電極と接触する部分の固定にもなりますので、しっかりと貼り付けましょう。
これでダミーバッテリが完成しましたので測定の準備に取り掛かります。
測定には下記のような安定化電源とバッテリーとの間に抵抗を繋げた簡単な回路図で行います。
測定に必要な材料
- 抵抗
0.2Ω抵抗を使用します - バナナプラグ
安定化電源接続用に使用します
安定化電源と電源ケーブルで直接接続する場合は無くても問題ありません
作成工程
1.抵抗を繋げる
作成したダミーバッテリのマイナスの電極側の電源ケーブルに抵抗をハンダで接続します。
安定化電源との接続は、バナナプラグで行うので抵抗の片側にも電源ケーブルをハンダで接続します。
3.動作確認
安定化電源を接続し起動に問題が無いこととオシロスコープで波形の取得ができるかの確認ができたら完成です。
電源を入れる前に必ず電極部分の接触が起こっていないかは確認しましょう。
今回は作成も簡単で、材料費も安く、手軽なダミーバッテリの作成を紹介させて頂きました。安定化電源の電力供給のみで起動するものは同じ方法で作成できると思いますので、参考になればと思います。
これでKeonの電力測定ができるようになり計測に必要な機材が揃いましたので、次回はオシロスコープを用いた測定を行って行きます。
記載されている会社名、および商品名等は、各社の商標または登録商標です。
はじめまして、記事を読ませていただきました。
返信削除ここで質問なのですが、0.2Ωの抵抗は何故必要なのですか?
電流を制限するためでしょうか。
というのも、私の使っていたスマホがバッテリーがダメになったと思われ、起動しないため、ダミーバッテリーを作成し、安定化電源での電力供給をしたいと考えたためです。
そしてそれによってスマホの死因が本当にバッテリーだったのかを確かめるとともにデータのバックアップをしたいのです。